無線ポタアンでハイエンドDAPを超える音質を手に入れる?
bluetoothで聞くイヤホンの高音質化を狙うために、レシーバーつきのポタアンを買うという選択肢が一般的になってきました。しかも、下手なDAPより音がいいと言われているものもあります。
実際、DAPは液晶があって、その中にandroidなり独自OSなりを積み込み、大抵の場合bluetoothの送信機受信機双方の機能をつけた上で、音質の向上を目指すことになりますが、bluetoothミニポタアンであれば、そのあたりは全部オミットして、受信機としての性能以外は音質に振ってしまえるわけです。
だから、ある意味同じ値段のDAPとレシーバーがあれば、レシーバーのほうが音がよい、という可能性は大いに有り得るといえるでしょう。
レシーバーの価格は1万〜3万。入門DAPを買うのとは別にレシーバーを検討してみてもいいかもしれません。
逆にそれ以上の出力を求めるなら有線用のポタアンを持ち歩くか、4万以上のDAPを狙ったほうが良いだろうと思います。
高出力を求めるならバランス接続端子つきを狙いたい
バランス接続の最もわかりやすい恩恵は、ポータブル機でそこまで値段が上がらずに低ノイズで出力があがることだろうと思います。したがって、恩恵が一番あるのはポータブル機+イヤホンの組み合わせだと個人的には考えています。
ポータブルで聞くとなると、ストリーミングサービスでと言う人も多いのではないでしょうか。であれば、bluetoothレシーバーは非常に重要な選択肢です。
DAPやポタアンと比べても、bluetoothレシーバーを間に入れるのは、中でも価格に対して上昇する音質(まあコスパ)は一番実感しやすいのではないでしょうか。
上記のように、DAPは音とは違う部分に音声も割かれていますし、androidスマホとしても一定レベルの性能がないと、ストリーミングサービスで使うにはシビアだったりします(私のメインで使っている、amazon music HDは、スマホだとなかなか気持ちよく聞けないですね……。今はPCメインなので困っていませんが……)
なので、bluetoothレシーバーを間に入れてみるというのはコスパの良い投資だろうと思います。幸い評判のいい機種は限られているので、あまり悩まずに以下から決めることが出来るだろうと思います。
目次
- 無線ポタアンでハイエンドDAPを超える音質を手に入れる?
- 高出力を求めるならバランス接続端子つきを狙いたい
- 目次
- バランス接続で比較するとFiiOBTR5が最強の出力
- EarStudio ES100 MK2【2.26Vrms】
- FiiO BTR5 2021【240mW@32Ω→2.77Vrms】
- Shanling UP5【240mW@32Ω→2.7Vrms/2万円】
- Shanling UP4【160mW@32Ω→2.2Vrms】
- Oriolus Oriolus1795【220mW@32Ω→2.65Vrms】
- 比較の前提
- 同サイズの有線ポータブルアンプも結構ある
- 関連記事1:bluetooth関係ない高出力ポタアン
- 関連記事2:bluetooth無視してコスパ全振りDAPのZishan
- 関連記事3:高出力を要求するイヤホンといえばtinhifi p1
バランス接続で比較するとFiiOBTR5が最強の出力
単純な比較ですが、ちょっとでも高出力を求めるならBTR5です。
2.5mmバランス出力を搭載 AAC、SBC、aptX、aptX Low Latency、aptX HD、LDAC 32bit/384kHzまでのPCMのほか、DSD256までのDSDネイティブ再生 bluetooth 5.0
なので、ソフト面でも問題なさそうです。
EarStudio ES100 MK2【2.26Vrms】
EarStudio ES100 MK2の出力について
出力レベル 3.2Vpp (Unbalanced) / 6.4Vpp (Balanced)
高音質なワイヤレス体験!24bit Bluetooth DUAL DAC搭載。バランス接続対応ワイレスレシーバー『EarStudio』 | 株式会社フリーウェイ
vppとvrmsで分かりにくいですが、サイン波で計測していると仮定して変換すると表題の通りになるはずです。バランスでこれなので、シングルエンドとの差は大きいですね。
ここで紹介する他のものとほぼ遜色ないかやや小さいぐらいだろうと思います。
EarStudio ES100 MK2の基本スペック
2.5mm4極バランス SBC AAC aptX aptX HD 連続再生:約14時間
その名の通りmk2と言って後継機種が出るくらいには人気の機種がもとになっていて、基本スペックも全く問題なさそうです。aptX LLがないので、ゲームとかでこだわるタイプだと少し不安要素かもしれません。
EarStudio ES100 MK2の特殊スペック:アップコンバート機能
独自技術「DCT」により、SBCやaptX、AACなどの音源もハイレゾ級にアップコンバート。
注目すべきスペックとしてはアプコンの機能があるということですね。正直、私はネットの回線状況が悪いときはbluetoothの問題じゃなくソースの問題から、aptXだと耐えられなくて、SBCとかで聞いてることもあるので、アプコンで高音質になるとしたら嬉しい話ではあります(アプコンで好みの音質になるかはまた別の話ですが)
ともあれ、スマホのプレイヤー側でのアプコンもあるので、必須かどうかはまた別かとは思いますが、特筆すべき点ではありますね。下で書きますが、oriolusのレシーバーにもアプコンがあるのですが、値段で言えば、ES100のほうがお手頃なわけで、他の同価格帯のレシーバーと比べたときに優位なポイントだと思います。
FiiO BTR5 2021【240mW@32Ω→2.77Vrms】
※後継機が出たのでリンク張り替えてますが、出力上のスペックは同じです
FiiO BTR5の出力
出力(32Ω負荷時)
3.5mm シングルエンド: 80mW+80mW以上
2.5mm バランス: 240mW+240mW以上
fiioはbtr3kなどのラインナップがあり、上位機種としてbtr5がある形でして、当然ラインナップ内最強の出力です。他のレシーバーと比べたときに、シングルエンドの出力は控えめです。(ここで両方とも高出力を狙わないというのは、シングルエンドを一種のローゲインとみなすことも出来るわけで、これは欠点ではなく、どういうイヤホンと組み合わせるか次第だと思います)
FiiO BTR5の基本スペック
2.5mmバランス出力を搭載 AAC、SBC、aptX、aptX Low Latency、aptX HD、LDAC
1.5時間の充電で9時間の連続再生が可能
スペックはまさに全部盛りといっていい内容ではないでしょうか。aptX LL、HDまでフル対応は意外にありません。が、次のUSB DAC以外だとベーススペックはかなりUP4と近いので、出力周りの仕様も検討点としては大きくなるのではないでしょうか。
FiiO BTR5の特殊スペック:高性能USB DAC
USB DACとして32bit/384kHzまでのPCMのほか、DSD256までのDSDネイティブ再生 bluetooth 5.0
USB DACとしてもDSD256にネイティブ対応など最新の単体DACレベルのスペックですね。これ一つ持っておけばという感じはあります。(ただし、本来の目的でない使い方を長くしていると、バッテリーが死にやすくなるので、長時間DACとして使うとレシーバーとしての寿命は心配になるところもあります)
Shanling UP5【240mW@32Ω→2.7Vrms/2万円】
UP4に後継機が出ました! BTR5とためはる性能に。
Shanling UP4【160mW@32Ω→2.2Vrms】
Shangling UP4の出力
出力電圧
71mW(32Ω負荷)/ シングルエンド、ハイゲイン出力電圧
91mW(32Ω負荷)/ シングルエンド、DualDACモード
160mW(32Ω負荷)/ バランス出力
個人的にはゲイン切り替えがあるのが注目点です。やたら強ければいいという訳でもなくて、低出力のほうが綺麗に鳴りやすいイヤホンもありますから、そこで低ノイズを目指すならゲインが調整出来たほうがいい可能性もあります(あるいは、そこでゲインを切り替えさせて、最適な出力を選ばせることで、出来るだけ歪みない音を届けよう、という考え方がshanglingのレシーバーだということです。逆に、一点豪華主義でゲイン一つで上から下まで低ノイズを目指す設計もまたありえるわけですが。THXくんとか、そういうイメージです。)
シングルエンドでDual DACモードで91mwはこの4の中だと2番めに強く、一番手のoriolusの方は価格が倍以上になってしまうので、バランス接続なんて実質的にあんまり使わないけど、鳴らしにくいイヤホンもあるんだよなーという人には、btr5以上にいい選択肢になるのではないでしょうか。ゲインが切り替えられるということは、いろんなイヤホンで困らないという考え方もできます(切り替えの手間はありますが)
Shangling UP4の基本スペック
LDAC/HWA LHDC/aptX HD/aptX LL / aptX / AAC / SBC 2.5mmジャック 駆動時間:最大15時間(シングルエンド)、10時間(バランス) 充電必要時間:2時間 電池容量:550mAh
これも評判のいいレシーバーだけあって、機能的には全部盛りですね。公称のバッテリー持続時間でいえば、UP4のほうが上ですね。
※現在出荷済みの本製品の説明書の『UP4をUSB-DACとしての利用する』の項について、「ケーブルで本機とPCを接続するだけでUSB-DACとして機能する」といった記載がございますが、こちらは誤りとなっております。
正しくは「接続後、マルチファンクションホイールを操作し本機の電源をONにする」といった操作が必要となります。
USB DACとしても使えるということですが、プラグアンドプライとはいかないようですし、USB DACとしてのスペックも特に出ていないので、これもあんまり期待しないほうがよさそうです。
ところで、UP4にはUSB DACとして活用する道もあるが、今回のレビュー時点では最大48kHz/16bitの出力に留まる(WindowsとMacで確認)。ES9218PはPCM 384kHz/DSD 256対応のDACであり、ファームウェアアップデートで解決してほしいところだが、こればかりは開発元の努力に期待するしかない。
2.5mmバランス出力も搭載! 小さくてもパワフルなSHANLINGの小型Bluetoothレシーバー「UP4」 - 価格.comマガジン
Oriolus Oriolus1795【220mW@32Ω→2.65Vrms】
Oriolus Oriolus1795の出力
最大出力(32Ω):
150mW+150mW@32Ω(3.5mm) / 220mW+220mW@32Ω(4.4mm)
お高い割にFiiO BTR5に負けてしまった訳ですが、出力について注目すべき点はシングルエンドだと思います。
Oriolus Oriolus1795の基本スペック
対応コーデック:SBC/AAC/LDAC アナログ出力端子:3.5mm Phone Out / 4.4mm Phone Out(バランス)
連続再生時間:7 時間(SBC,AAC 時) ※使用条件によって短くなる場合があります
USB-DACとしても利用可能
バランス端子が 4.4mmなのが特筆すべき点かなと。新製品はどんどん4.4mmに切り替わるなど、世の中の主流は2.5mmから4.4mmに移りつつありますし、DAPなどでもそちらにあわせてリケーブルしている人も多いのではないでしょうか。単純に端子として太い分、端子部分に力が加わって壊れてしまう心配などが小さいですから、私も4.4mmのほうが好きです。
リケーブルできるといっても実際はそれなりの手間なわけで、4.4mmを主としているならそれだけでかなり強い材料になるのではないでしょうか。
3.5mmでも出力が強いためか、連続再生時間は控えめな申告です。
USB-DACとしても利用可能
Oriolus、4.4mm出力搭載のBluetoothレシーバー「Oriolus1795」。USB-DACとしても利用可能 - PHILE WEB
DACとしても利用可能ということは結構いろんな箇所に書いてあるのですが、DACとしてのスペックなどが書かれていないので、その点はいまいち不明です。少なくともアピールポイントではないのはわかります。
ちなみに、他のレシーバーはマイク搭載なのですが、記述がないので、注意してください。
Oriolus Oriolus1795の特殊スペック
専用のSRCでBluetooth信号を192kHz/24bitにアップサンプリングした上で、DAC「PCM1795」へ送られ、アナログに変換している。
ES100 mk2のところでアプコンに触れたので多くを言いませんが、嬉しいところはあると思います。
比較の前提
スペック表に載っている数値で比較的共通していたのが32Ωだったので、そこでの比較をするような数字の載せ方をしていますが、32Ωって、主にヘッドホンのインピーダンスで、イヤホンではめったにないと思います。お持ちの方は鳴りにくさで把握されてるのではないかと。
ですから、ここで出てる200mWよりは出ると思ってもらってよいかと。
同サイズの有線ポータブルアンプも結構ある
個別に記事はあげませんが、bluetoothより有線派であれば、似たようなスペックのものが結構あります。ポタと言っても筆箱ぐらいあるやつもありますが、あっちではなくて、手のひらに握り込めるサイズのやつです
Shanling UA5
211mW@32Ω
HIDIZS S9 PRO
L&R200mW @32Ω
関連記事1:bluetooth関係ない高出力ポタアン
この記事はレシーバーに焦点を絞っていますが、無線ではなく有線でさらなる音質を追い求めたい人もいるでしょう。そのためのまとめが以下記事です。
しかし、ここと見比べてみても、BTR5なんかは、ヘタするとスマホより大きなポタアンよりも出力がある、ということがわかると思います。
ですが、ヘッドホンを使うならbluetoothレシーバーでは力不足な部分もあり、ポタアンの出番です。
関連記事2:bluetooth無視してコスパ全振りDAPのZishan
冒頭にDAPとレシーバーのコスパ比較を書きました。液晶やOSにコストをとられるので不利だと。
だったら、androidもいらねぇし、bluetoothもいらねぇし、なんならプレイリスト機能もなし、全部音質に使います、というアプローチのプレイヤーがあったとしたら、bluetoothの限界を超えたいい音がするのではないか?と考えることが出来ますよね。
そういうメーカーの一つがZishanです。AK4499は旭化成の工場の火事で在庫僅少のようですが、より廉価なZ3でも、コスパ全振りの音を聞くことが出来ますから、一度試してみてほしいです。(Z3もただし当然ハイエンドDAPほどではありません。DSDsPROは個人的にはハイエンドDAPと区別出来ない音がします)
関連記事3:高出力を要求するイヤホンといえばtinhifi p1
実際、出力が必要なイヤホンってなんだよ?そうとうな高級イヤホンじゃないか?という声もあると思いますが、最近の中華イヤホンでは1~3万円台で(なんちゃって)平面駆動なんていうイヤホンも出てきてまして、実際かなり音量は取りにくいですね。
その1つがtinhifi p1です。さっぱり、爽やかないい音のするイヤホンですが、環境を選ぶので、それなりのDAPにつないで持ち出すか、今回紹介したようなハイパワーなレシーバーが必要だろうと思います。
インピーダンスは20Ω、感度: 96db/mwです。
適当に値段が近いソニーのXBA-N1を手に取ると、16Ω(1kHzにて) 105dB/mW です。インピーダンスも小さい上に単純な差で9db違いますからね……。dbは対数ですから相当音量が違います(といっても人間の耳の感覚も対数的なようなので、倍々で差あるというわけでもないのでしょうが)