シャイニーカラーズのユニット名の一つ「アルストロメリア」が花の名前によることはよく知るところでしょう。
そもそもキャッチフレーズからして
花ざかり、私達の幸福論
であるわけで、曲も名前どおりの「アルストロメリア」を筆頭に、単なるハッピーさにとどまらず(単なるハッピーであれば、なんでしょう、例えば日向坂46の『ハッピーオーラ』とか、もう少しからっとした幸せさというものもあると思うのですが)、むしろゲロ甘い「多幸感」euphoricとしかいいようのない楽曲が集まっていて、アイマスの歴史でもこんなにハマった名前のユニットがあるだろうか、と曲を聞くたびに思います。
「甘い」というのも大崎姉妹の名前にも入っていて「甘奈」は勿論のこと「甜花」の「甜」の字も「甘い」という意味です。
日本語の通常の文脈ではあまり目にしませんが、中国語ですと甘いという言葉一般のみならず、SWEETS(日本語で言うカタカナ語の「スイーツ」つまりデザート、更にはデザートというかケーキを食ってしまうような感じ)の意味でも使われますので、かなり一般的な単語です。名付ける側が古語として拾い出したのか、外国語のかっこいい文字として名付けられているのかはよくわからないですが。(なにせ765ASからして軍艦の名前ですから、古風で厳《いかめ》しい名前が珍しくないのがアイマスの世界です)
さて、花言葉というのは、結構いい加減というか、起源のはっきりしない話しが適当にコピペされて流布されているので、個人的にはフィクションでイマイチ本気で意味をもたせるときに適切なものだろうか、と首をかしげるところはあります(だって、何かの本に基づいたとして、結局もとをたどったら花屋の宣伝文句だったりすると、深遠な意味を込めた気にはなれなさそうですし……)
花言葉は
1819年頃に出版されたシャルロット・ド・ラトゥール『花言葉』 (Le Langage des Fleurs)[5]は、こうした流行を背景に登場した最初期の花言葉辞典である。
社会の各層に庭園文化が浸透していたヴィクトリア朝のイギリスでもさまざまな花言葉辞典が出版されるが、中でも著名な絵本画家ケイト・グリーナウェイが著した挿絵入りの辞典は大きな評判を呼び、花言葉という慣行の普及に大きく寄与したとされる[3][4][8]。
ラトゥールとグリーナウェイの本のスキャンはネットにありますが、適当に検索してもアルストロメリアは出てきません。1753年に南アメリカ大陸はアンデスからヨーロッパに持ち帰られた花のようで(「インカユリ」という呼ばれ方もあるとか)、時系列的には19世紀からの花言葉辞典の流行に間に合っているはずですが、もっと古典的で、ヨーロッパの過去のフィクションに登場する花のほうがこういった場にふさわしそうなのは想像に難くないところで、まだまだそうした場に名前があがるほどではないエキゾチックな花だったということでしょうか。
それなりに古い権威あるテキストで花言葉を見つけることが出来ませんでした。
花言葉そのものではありませんが、花キューピッドのサイト(流石にそれなりに権威があると思いたいですね)によれば、月ごとの誕生花というものがあるようで、その多くが日本人にも馴染みの花で納得感もありますが(8月の誕生花がひまわりであるとか)中では日本人にとっていくつか馴染みのない花として、アルストロメリア、トルコキキョウ、デンファレがあげられています。和名はそれぞれ、百合水仙、トルコキキョウ、洋蘭(単にデンドロビウムとも)のようです。
さて、アルストロメリアという言葉自体はどういう意味なのか、結論から言えばこれは、英語のストリーム=stream=小川と同根です。ただ、花に小川という性質があるわけではなくて、命名者がアルストレーマーという友人の名にちなんでつけた名前だったということですね。
そもそもの命名者はあのリンネです。
生物の学名を、属名と種小名の2語のラテン語で表す二名法(または二命名法)を体系づけた。ラテン語は「西洋の漢文」であり、生物の学名を2語のラテン語に制限することで、学名が体系化されるとともに、その記述が簡潔になった。現在の生物の学名は、リンネの考え方に従う形で、国際的な命名規約[3]に基づいて決定されている。
生物学(正確にはその分類ですか)のゴッドファーザーがつけた名前ということですね。
学名
Alstroemeria L. (1762)
この学名の最後のLはリンネのLで、
生物の学名は属名、種小名に続いて命名者の名が記される。命名者に略称を使用する場合、たった一文字の略称が使用できるのはリンネのL.のみである。学名の最後尾にL.とあれば、リンネが命名したもの、それが()に入っていなければ、彼が命名して以来、その学名が変更されていないと言うことになる。
ということで、見つかったときから、分類の変更などないママ今に至る花ということになります。
さて、その名前がちなんでいるアルストレーマー氏というのは、日本語wikipediaにも項目があります。
クラース・アルストレーマー(スウェーデン語: Clas Alströmer、1736年8月9日 - 1794年3月5日)は、スウェーデンの実業家、科学者のパトロン、博物学者である。スウェーデンの実業家、ヨーナス・アルストレーマー (実業家)(英語版)の息子である。
リンネが教鞭をとっていたウプサラ大学で学び、その後科学のパトロンとして活動したということですね。
アルストレーマーというのはwikipediaの日本語にも複数人が登録されていて、それなりに知名度のある名前のようです。
ここでやっと「アルストロメリア」というのはどういう意味かということの答えに至るわけですが、意味としては「アルストロメリア氏の花」といったところでありますが、それでは面白くないわけで、アルストロメリアというのがどのような意味なのか、日本語の名前でも役人の名前農民の名前というものはありますから、言葉の意味を見てみると、これもご丁寧に日本語の記事があります。
アルストレーマー(スウェーデン語: Alströmer)は、スウェーデンの姓。地名に由来する姓で、ハンノキを意味する「a(h)l」と、小川を意味する「straumr」から成る。