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橋本治『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』

 

「三島由紀夫」とはなにものだったのか (新潮文庫)
 

 デジタルで出すのが遅いぞ!と手元の

 

小林秀雄の恵み(新潮文庫)

小林秀雄の恵み(新潮文庫)

 

 を読んでるうちに面白いので『三島』の方にも手を出してしまった。

小林秀雄の恵みは、源氏物語を読む橋本治が、源氏物語を読む本居宣長を読む小林秀雄を読む話である。

本居宣長の2つの墓、師匠から下手とされた歌を詠み続けた話などを「私にはわかる」とした上で、それが分からない小林秀雄を読んでいく。

中江藤樹だの林羅山だのなんか教科書ぶりに見た名前だ。

丁寧にわかりやすく話を進めているので、小林秀雄にも本居宣長にも全然知識のない私でも楽しく読めている(橋本治源氏物語をどう読んだかという話は私はどこかで事前に得ているのでそこはきいている可能性がああるが、それも丁寧に説明されているとは思う)

 

『「三島由紀夫」とは?』は『小林秀雄の恵み』よりも普通に小説の読解をやっていて、どうも小説を読んでいないとはなしが掴みづらい(というか名前が覚えられない)

 

とはいえ、いきなり豊饒の海を買って渋い気持ちになるのも辛い(それなら先に橋本の三島を読み通してからのほうがよかろう)というので、

 

 

花ざかりの森・憂国―自選短編集 (新潮文庫)

花ざかりの森・憂国―自選短編集 (新潮文庫)

 

 

自選短編集があったのでまずそれを買ってみた。

ただし、解説で三島自身が書いているように、若書きというか、晩年は長編に挑んだんだが、テクニカルな練習のような面があるとのこと

 

長さを鑑みてまず読んだのが、

遠乗会

であったが、これはノリで恋人と別れてさらっと見合い結婚した貴族令嬢の夫人が、息子が盗みを働くぐらい惚れている女を見るために、馬に乗る会にでかけたところ、思いかげず過去の恋人と出会う。過去の恋人が立派な軍人になったことは主人公の女も知っており、それは私に操を立ててのことだったのではないか、自分もそれに相応しくきちんとした女でいなくては、と思って過ごしてきたのだが、向こうの軍人は自分のことをまるで覚えていないのであった――

 

年を経るにつれて少女のようになっていったという40代女子のなんだか切ない話であるが、ある種ちゃんとオチもあり、わかりやすい話ではある(というか解説を見ると、だいたいはわかりやすくかいてるんだよねーてな言い草だ)

 

サブプロットというか、主筋の息子が惚れてる女がめちゃくちゃ感じがよかったという件があり、それを鑑みてお力見返すとご夫人は、全然人間を見る目がないのかもしれない。年を経てますます少女めいていくというのは全然褒め言葉ではないのかもしれない。

序盤で、結構ナルシシズムから「息子を愛してる自分ダイスキ!」みたいな話もあるので、最初から「バカな主人公」として、厳しいオチを期待して読むべきものだったのかもしれない。

流れから言えば、なんとなく、息子の惚れた女(まさに今少女だ)と夫人自身が何か重なったり対比になったりという可能性を期待して読んだが、そのあたりは細かい補足はなくてオープンクエスチョンになっている。

こんな人もいるよな、というぐらいの話だった(読みやすい読みにくいでいえば全然読みやすい)