T50pは意外に悪くないミニサイズオープン型ヘッドホン
中古で入手しました。実はベイヤーはDT770しか持っていなくて、全然好きではなかった(密閉型がそもそも好きじゃないし、モニターっぽい音もあんまり好きじゃないし……というので純粋に趣味の問題ですが)ので、ベイヤーかあ、、という感じだったのですが、冷静になってきてこれだけの有名メーカーですからスルーもなというので、お安いものをと入手してみた感じです。
- T50pは意外に悪くないミニサイズオープン型ヘッドホン
- ベイヤーダイナミックについて
- T50pとテスラテクノロジー
- T50pはT1のポータブル版だが、T5とはクローズドという点で共通
- T50pとT51pとT5pはいずれもクローズだが、T5*pとT5pはハウジング違い
- T50p、T51pを引き継ぐコンパクトハウジングテスラAventhoの登場
- T50p譲りのコンパクトハウジングのモニターDT1350
- T1→T70→T90→Amrionのもう一つの開放型の系譜
- Beyerdynamic t50pとFOSTEX T50RPは別のヘッドホン
- T50pはウォームでヌケ感のあるヘッドホン
- t50pとThieaudio Phantom(mod済;中のウレタンを外した)の比較
- t50pとBLON B7sの比較
- t50pとMeze 99 Classicsの比較
- 関連記事
ベイヤーダイナミックについて
ベイヤーダイナミックのシリーズの整理をしようかと。
いわずとしれたDTシリーズがあります。これはモニターヘッドホンで、CD900STとか、AKGのKシリーズに相当するもので、
DT770、DT880、DT990(それぞれ密閉型、セミオープン、開放型)とありますね。これはロングセラー系なのでほとんどなくなることはないでしょう。(PROというのは一応アップデートバージョンですが、値段的にもほとんど代わっていないはずです)
値段的にもCD900STとさほど変わらず、基本2万円以下で購入出来ます。モニターサウンドを求めているなら選択肢に入るのだろうと思います。
T50pとテスラテクノロジー
T50pのpはおそらくポータブルのPかと思います。TはいわゆるテスラテクノロジーのTです。しかし、テスラテクノロジーの採用されたヘッドホンはかなりたくさんあるのでちょっとややこしいのです。
beyerdynamicアコースティック・トランスデューサーの磁束密度が、1テスラ以上を誇ることがTeslaテクノロジーの由来となっています
DTシリーズのドライバーとの比較もこのリンク先には掲載されています。
T50pはT1のポータブル版だが、T5とはクローズドという点で共通
新フラッグシップヘッドホン「T1」(600Ω仕様)と、同モデルをコンパクト化したポータブル型の最高峰「T50p」を全面的にアピールしている。
これが2010年9月の記事ですね。T1もロングセラーになってまして、初代、第2世代、そして第3世代が先ごろ発売されたばかりです(amazonにはまだ第3世代が来ていなかったのでリンク先は第2世代です。音が結構変わっているらしいという話も)
ティアック セミオープン型テスラテクノロジーヘッドホン beyerdynamic T 1 2nd Generation T 1 2nd Generation
- 発売日: 2015/08/31
- メディア: エレクトロニクス
T1はオープン型で、対となる密閉型のT5があります。
本日、beyerdynamic社よりヘッドホンのフラッグシップモデルにあたるT1およびT5の第三世代モデルが発表されました。
この2つの第3世代テスラシリーズは発売されたばかりで、北米版ベイヤーのサイトのトップもこの2つになっていました。
オープンのT1 があり、クローズのT5があり、T1のポータブル版であるT50pがある。しかしT50pというのはカジュアルユースなのでクローズである。
すでに命名が混乱し始めていると私は思うのですがが、このあとさらにややこしくなります。
T50pとT51pとT5pはいずれもクローズだが、T5*pとT5pはハウジング違い
T5p 2nd Genの登場です。T5の2nd GenはT1 2nd Genとは違いなぜかポータブルのpが付きました。
つまりベイヤーとしてはホームユースのオープンというのはありえないだろうと思ってT1のポータブル版はクローズにする一方で、逆にT5のクローズだしポータブルでも使えたらよかろうということで、T5pという売出しをしたのでしょう。
系列で見ると混乱しますが、T1*であればオープン、T5**であればクローズというルールは守られていますから、問題ないとみなされたのかもしれません。
実際、T1とT50pはドライバーが同じテスラドライバーだったのかもしれませんが、形が全然違います。逆にT1とT5は見た目はおおよそ同じなのです。
DTシリーズぐらいでかい、いかにもスタジオという感じの耳をすっぽり覆うハウジングなのがT1やT5やT5pで、T50pはテニスボールの直径よりも小さいハウジングなのですね。
というので、こうやって後知恵で調べるのでない限り、機能や違いは明らかで混乱はなかったのかもしれません。
しかし、命名上はさらに混乱を招くT50pの後継機が登場します。T51pです。
持っていないので伝聞で適当に書きますが、総じてt51pが評判がいい気がします。私はどれがどれだかもあんまりわからなくなっていたところで、お安いからと買って、あとで発送を待つ間にレビューを調べてやってしまったかな。。。と思ったぐらい、t50pとt51pでレビューが違っていて、困惑しました。
T5pがあって、T51pがあって、まあ結局T1とT5は兄弟機ですし、クローズ同士でT5pのコンパクト版がT51pだと思ってもよさそうですが、結局ベイヤーはこのごちゃつきをT51pのラインを名称変更することで解消しようとします(逆に先に見たように第3世代までT1とT5は残るわけですね。)
T50p、T51pを引き継ぐコンパクトハウジングテスラAventhoの登場
Aventho wiredです。
T 50 p、T 51 pのコンセプトを継ぐ、ハイレゾ音源の再生に最適なワイヤードタイプ密閉型ヘッドホン
wiredがあるのでwirelessもあります
というか、正確な時系列がたどれませんが、どうもwirelessが先に出て、wiredがあとに出たのが2018年だったようです。実際もうこの頃になるとホームユースでそれなりに高いヘッドホンはboluetooth対応になっていきますが、有線派のマニアのためにwiredも売ったということなのでしょう(t51pのファンの要望があったのかもしれません)
T50p譲りのコンパクトハウジングのモニターDT1350
ベイヤーの公式にはもうないのでディスコンかと思われますが、実はこのハウジングでテスラで密閉型だけど、音としてはモニター志向というヘッドホンもあったということですが、いまいちオフィシャルなソースがなくて、ありました、というだけで……。
T1→T70→T90→Amrionのもう一つの開放型の系譜
ちなみに、Aventhoと対になるようにして、Amironというホームユースのオープン型も存在します。
これもT(テスラテクノロジー)の系譜には違いないのですが、また別系統で
T1(ハイエンド)→T70/T90(廉価版=ホームユース)【密閉/開放】というテスラテクノロジーのお安めバージョンの系譜というのがあります。
「Amiron Home」は、beyerdynamicのラインナップとしては開放型ヘッドホン「T90」の後継と位置づけられるホームリスニングヘッドホン。
ベイヤーのヨーロッパ版サイト(UKサイトといっていいのでしょうか)には、まず、ハイエンドだったT1やT5pのテスラドライバーが500ユーロ以下でお届けできるようになったぜ!という形でT70とT70pを紹介しています。
T50pとの差はというと、T50pは「弟分」でミニテスラドライバーであって、フルであるT70らとの差は歴然!という感じの言い分ですね。まあハウジング違うしドライバーサイズ自体違ったということなのでしょう。ハイエンド度でいえば、T1>T70・T90>T50pという感じの位置づけということですね。見た目もT70のほうがはるかに近いです。
With its balanced frequency response, powerful bass and clear highs, it clearly differentiates itself from its little brother T 50 p with mini Tesla drivers, and transports the sound experience in the direction of the T 5 p mobile reference headphones.
The T 70 and T 70 p headphones from beyerdynamic: Tesla quality in a new price range
で、T1のポータブル版=密閉型のコンパクトモデルであったT50pはT51pを経てAventhoへ、中途半端なT70はいなくなってドライバー自体はハイエンドのT1とと同じだけど廉価版のT90(開放型)がAmironになるという流れです。
ただ、ここでもとのT1>T90>T51pという序列が残っているかというと、amironとAventhoはほぼ同じような値段で売られています。
- ハイエンド(オーディオフィル向け) T1 3rd gen/T5 3rd gen【密閉/開放】
- ホームユース(ミドルレンジ) Amiron/Aventho【密閉/開放】
- ハイエンドモニター(プロ向け) DT1990/DT1770【密閉/開放】
- トラディショナルモニター(プロ向け) DT990/DT770【密閉/開放】
という風に4x2におおよそ収束していったという感じですね。DT880無視したりというのはありますが、まあ分かりやすいラインナップだと思います。
系譜で整理すれば
- T1→T1 2nd→T1 3rd/T5→T5p→T5 3rd
- T70→T90→Amiron/T50p→T51p→Aventho
といった感じでまとめてしまえば綺麗な感じでしょうか。
Beyerdynamic t50pとFOSTEX T50RPは別のヘッドホン
ちょっとややこしいと思ったのはt50pとT50RPが割とどちらもメジャーなヘッドホンとして存在することで、また別のものですよということで出しておきます。
アップグレード版のT60RPが手元にありますが、高音寄り・分離感強めの綺麗な平面駆動の音で、t50pとは似ても似つかぬ音です。
T50pはウォームでヌケ感のあるヘッドホン
密閉型ですが遮音性は全然です。最初セミオープンかと思いました。その分DT990のように尖った音がみっしり耳に充満する感じはなくて、私としてはかなり好印象です。いっそGradoっぽいです(Grado持ってるわけじゃなくて試聴しかしたことないんですが)。ただ、耳全体を覆わないサイズなので、耳との位置で音が変わるのはしょうがないですね。そこでいっそオープン型だとあんまり気にするほどでもないのかもしれませんが、一応密閉型ということで、つけ直すとやっぱり音の感じは変わってしまいます。
リケーブル不可なのは嫌なところです。ケーブルもめちゃくちゃ細くていかにもモバイルユース向けという感じでした。ケーブル自体は細いですが絡んだりせず悪いものではないとは思いますが、不安はつのります……
ポータブルというのでアンプなしというかイヤホン用の雑なアンプで駆動していますが不安はあまり感じません。
ハウジングも小さいので実際軽くていいですね。私は持ち運ぶことはありませんから想像ですが、持ち運びたいかといわれると金属板をまげてみましたみたいなヘッドバンドなので不安はあります(そういうところもgradoっぽいのです)。あとはやっぱりケーブルが切れたら嫌だなという細さですね。
一応DTシリーズっぽくヘッドバンドに大してハウジングは90度回転するので平べったいところに置くこともできますし、DJフォンのように片耳だけつけることも出来ます。
音は確かにhifi!って感じのクリアさではないですが、ウォームである程度響きの良さもあり、なんでも全然楽しく聞けるのではないでしょうか
beyerdinamic T50P 磁束密度1テスラの壁を超えたドライバー搭載のヘッドホン! | Rock oN 音楽制作機材レビュー「Now oN Sale」
発売日の市価は3万円だったようですね。
t50pとThieaudio Phantom(mod済;中のウレタンを外した)の比較
3万円ぐらいで低音が出てるヘッドホンというので比較対象ちょっと皆さんが持ってなくてどうかなと思いましたが、これがお気に入りなので……。開放型なんでいよいよ比較対象としてどうかという感じですが……
t50pは打ち込み系・アイドル・シンセばりばりのアニソンみたいなのは全然ダメで、こもってるなあという印象になります(中音の上の方にマスク感があります)。ちなみにmodしたPhantomは何でも気持ちよく聞けるんですよね……
ボーカル寄りの曲に切り替えると、声+楽器1~2個でも分離感みたいなのは流石にt50pは負けていて、全部が隙間なくごちゃっと耳に飛び込んできます。高音のキラキラも弱いかもしれません。でもまあここは好き好きのレベルで、「いろんな音が!」というhifi感が必要ない曲もたくさんあるわけなので。
お安いドンシャリホンということでDoubleZeroなんかは擁護が難しい感じのもわっと感、音のぺたっと感なのですが、t50pですと音の広がり、一番大事な中音には伸びやかさなどもあり(前述のようにセミオープン感がありまして、声だけなら結構広がってきこえますね)、全然聞ける感じにまとまってはいます。低音も気持ち良い音量出ていると言えると思います。
t50pとBLON B7sの比較
マイナーなヘッドホンばっかりで申し訳ないですが、低音が出ていて、実売価格1万円付近のクローズド、というのでこいつを……。
分離感とかはb7sのほうがありますね。一応モニター名乗ってるだけあります(t50pはモニター感はまるでない)。悪くない意味で相対的にドンシャリ感があります。高音は軽い(高音がベースの音に低音がなくて、低音は低音でまた別で出しているというか、、、)が、まあ中音聞こえないかというとそうでもないなと。フラットとまでは言わないが、全部お互いに邪魔せずに聞こえるのがb7sです。
まあt50pが全体として低音に寄っているとも言えますが、逆にt50pはドンシャリ系とは言えないですね(DTシリーズをドンシャリという人がいるので)、t50pは全体にウォームです。マイケル・ジャクソンとかってドンシャリに合いすぎてしまうので……と擁護しようと思ったけれど、b7sのあとに同じ曲をt50pを聞くと単純にもこもこに聞こえますね。
この辺がまああんまり評判が良くない理由でしょうが、一個一個の音の質としては両者でさほど差を感じるわけでもなく、単純に周波数バランスの差の気もします。(むしろt50pのほうがドライバーの素性はいいわけで、t50pのほうがいいと言い切りたいところ、しかしこういうウォームな音でのよしあしは難しいですね……)
t50pとMeze 99 Classicsの比較
MEZE(メゼ) 99 Classics Walnut Gold 木製イヤーカップ ウォルナットゴールド 密閉型ヘッドホン M99C-WG
- 発売日: 2017/06/30
- メディア: Wireless Phone Accessory
ウォーム系、市価3万円、ダイナミック、密閉型、一応条件的には近いですね。99Cは正直好きでないので、あんまり良き比較にならないような……。好き嫌いで言えば、t50pの音のほうが全然好きです。
99cはウォームな割にこもり感はないんですが、密閉型の嫌さというか、音があんまり広がらずに小さくまとまってしまう感じがあります(しかしそれでいいということもあるでしょう。人気のヘッドホンですので……国内より国外で人気がありますね。クラシックとかアコースティック向きという評判もでも、断固として「これはクラシックは無理」という意見もあり……私はあんまり聞かないので……確かにクイーンにはいいと思ったことがあるので、オーケストレーションがあるような曲で綺麗に聞こえるかもしれない……プラシーボかもしれない……。とにかく評者は99Cを評価する人とは合わないということだけ受け取ってもらって……。ちなみに今、強いアンプ(magni heresy)と弱いアンプと刺しなおしましたら強いアンプだと一段回クリアになりましたんで、ここまでに出してきたやつとは違ってアンプを何らか要求するヘッドホンですね。)
それに比べるとt50pは普通の広がりがあります(何度も言いますが、セミオープンっぽい音の鳴りなのです)。t50pはキラキラ感はないので解像度では劣る、ということになりますが、気持ちよく聞こえるとは思っていますが……。
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modしたphantomの話をしてしまいましたが、ここに細かいことは書いております。3万円台の開放型平面駆動だとPhantom(低音寄り)とT60RP(高音寄り)で双璧と思っております。
このブログで一番人気のヘッドホンの記事は以下ですので、ご興味があればぜひ。